そもそも下痢とは何でしょうか? 実は下痢は便秘と同様、定義が難しいとされています。
医学博士の松生恒夫氏によれば、下痢の共通認識とは「糞便中の水分が増えたために便の量が増えたために便の量が増加した症状をさし、排便回数が増えることが多い」ということだそうです。
また「「成人では一回に二〇〇グラムを超える排便」と定義されることが多いようで、この状態が三週間以上続くと「慢性下痢」とされています」と述べています。
それに加えて、松生氏は、下痢が長期間続くと、脱水症状が起き、さらにひどくなると、体重減少、発熱などを伴うこともあると述べています(参考 松生恒夫『腸に悪い14の習慣』)。
そのため、下痢の症状がおさまらない場合、社会生活にも影響を及ぼすため、注意が必要になってきます。
さらに松生氏は下痢の原因について、「一般的にかかりやすいのは、ウイルス性腸炎、細菌性腸炎、アルコール多飲後の下痢や過敏性腸症候群下痢型など」だとしています。
ちなみに以下は松生恒夫氏による下痢の分類です。
浸透圧性下痢 | マグネシウムやソルビトールなど腸管内で吸収されにくい高浸透圧性の薬剤により腸管内に水分が増加することが原因となる下痢。 |
滲出性下痢 | ウイルス感染や細菌感染、抗がん剤による腸管粘膜障害により腸管壁の透過性が亢進して、粘膜からの水分の吸収が阻害されて浸出液が腸管内に排出されることにより起こる。 |
分泌性下痢 | 小腸や大腸粘膜の塩素イオンの能動輸送の異常のために起こる。塩素イオンは水分と同時に腸管内へ分泌されるため腸管内の水分量が増加して下痢を起こす。細菌感染や薬物により塩素イオンチャンネルがリン酸化されて開き、腸管内に塩素イオンが分泌され、それとともに水分分泌が起こる。 |
消化管運動異常 | 腸管内容物の移動が速すぎると十分な消化や水分吸収がおこなわれず、下痢となる。また腸管運動が停滞しても腸内細菌の異常増加を引き起こし、胆汁酸の脱抱合による粘膜の傷害や、水、脂肪分の吸収障害をきたすために下痢が起こる。 |
(松生恒夫『腸に悪い14の習慣』p181より抜粋)
参考文献
松生恒夫 『腸に悪い14の習慣 「これ」をやめれば腸が若返る』 PHP研究所