大腸は消化・吸収を担当している小腸に対して、排泄を担当しています。
その排泄には、食べ物の残りかすだけではなく、食物の有害成分や体内で生まれる毒素、有毒ガスなども外に出すという「解毒」の役割もあります。
この有害物質や有毒ガスが大腸の働きによってきちんと体外に排出されないと、それらの毒素を生じさせる老廃物が体内にとどまることになり、からだの不調を引き起こす原因になります。
食物の残留物や老廃物が大腸内に停滞し続け、いつまでも体外に排出されないことを「便秘」と呼びます。この便秘は体調不良を引き起こす大きな原因にもなりますので、毎日快適な排便がなされるよう、日頃から腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善し、腸内環境を整えていく必要があります。
しかし腸に入ってきた食べ物の消化物が実際に便となって体外に排出されるのには1~3日くらいかかるとされているため、1日や2日くらい便の排出が滞ったとしても、それほど心配する必要はありません。
食後から約5~6時間が経過すると、半流動状の食べ物の消化物は大腸の上行結腸から横行結腸へと送られます。さらに大腸の蠕動(ぜんどう)運動によって横行結腸から下行結腸に到ると、消化物は半粥状になります。
食後10時間以上が経過し、消化物がS状結腸にさしかかる頃には、消化物は固形化を始めています。そして1~3日が経つと、消化物は便となって肛門付近の直腸にためられます。
その後、一定以上の便がたまり、内圧によって排便中枢の仙髄に刺激が与えられ、排便反射が起こると、ひとりでに内肛門括約筋が緩みます。
また腸から肛門を開くように脳に指令が出されると、「便意」を感じるようになります。それによって自らの意志で外肛門括約筋を緩めて、便を体外に排出するのです。
参考文献
上野川修一 『からだの中の外界 腸のふしぎ』 講談社
光岡知足 『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』 祥伝社
松生恒夫 『腸に悪い14の習慣 「これ」をやめれば腸が若返る』 PHP研究所
『しくみと病気がわかるからだの事典』 成美堂出版