ここでは腸をより深く知るための書籍として、『人生を変える賢い腸の作り方 ココロまで整える腸内フローラ活性術』を紹介しています。
『消化管は泣いています』の著者でもある医学博士の内藤裕二氏による『人生を変える賢い腸の作り方 ココロまで整える腸内フローラ活性術』には、食物繊維、特に水に溶けやすい水溶性食物繊維によって、腸内フローラを整えることの有効性が書かれているといえます。
また『消化管は泣いています』が腸内フローラに関する理論編だとしたら、内藤氏が「腸の健康を取り戻すための方法を記した本書を、私はどうしても世に出したいと念願していました」と述べているように、この『人生を変える賢い腸の作り方』は実践編だと捉えることもできます。
特に、内藤裕二氏は、
「腸内環境に良い食生活をする」→「良い腸内細菌が増殖する」→「発酵によってカラダに良い物質が産生される」→「腸内が弱酸性に傾いていく」→「悪い腸内細菌の増殖が抑えられる」→「腸が元気になってカラダが元気になる」
といったサイクルを実現するためには、水溶性食物繊維を豊富に摂ることによって腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すことが必要だと指摘しています。
また、食物繊維には、近年増加しているうつや便秘といった症状や、大腸がんなどの病気に対して予防の効果があるということについても、科学的根拠を重視しながら述べられています。
内藤裕二氏の『人生を変える賢い腸のつくり方』の特徴は、「グァー豆酵素分解物」と呼ばれる水溶性食物繊維について詳しく書かれていることだといえます。
このグァー豆酵素分解物には「発酵性が高く短鎖脂肪酸の産生量が多い」「分子量が大きく浸透圧性の下痢を引き起こしにくい」といった性質があるといいます。
特にグァー豆酵素分解物が腸内細菌による短鎖脂肪酸の生成に役立つという点は、日々の食事において、野菜や果物、海藻類などから、十分な量の水溶性の食物繊維を摂取するのが困難な方にとっては、注目に値すると思われます。
ちなみに短鎖脂肪酸について内藤裕二氏は『消化管は泣いています』でも詳しく述べていましたが、この『人生を変える賢い腸のつくり方』でも、「腸内の㏗値を低下させて有用菌の増加を促すと同時に、悪用菌の増加を抑制する効果がある他、炎症の抑制、さらにはがんの予防に重要な役割を果たしているとされています」と述べています。
さらにグァー豆酵素分解物によって短鎖脂肪酸が作られると、腸内細菌の集まりである腸内フローラの改善や、小腸の絨毛を回復することにもつながっていくことが示唆されている点は、非常に興味深いと思われます。
第1章 なぜ腸が全身の司令塔なのか/第2章 腸の元気があればカラダも健康に/第3章 便秘・肌荒れに効くだけではない腸の実力/第4章 元気な腸の強いミカタ「水溶性食物繊維」/第5章 「日々の食事+α」で水溶性食物繊維を簡単に摂る方法/終章 医療・介護施設で認められている「グァー豆酵素分解物」