ここではストレスが腸内フローラを悪化させる原因になるということについて述べています。
人間関係による心理的ストレスや、働き過ぎ、頑張り過ぎなどによる過度のストレスは腸内フローラのバランスを崩してしまう原因になります。
その理由は、ストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という神経伝達物質を放出し、大腸菌がその刺激を受けて、腸の一部で病原性を高めながら増殖するといわれているからです。
緊張したりプレッシャーを感じたりすると、人によっては急におなかが痛くなるのはそのことと関係しているように思えます。
また、腸内細菌のバランスが悪玉菌優位になってしまうと、便秘や下痢、うつ、アトピー、過敏性腸症候群いった症状にもつながっていってしまいます。
そのため、健康な腸内フローラを保つためには、必要以上のストレスを避け、呼吸を深めたり、気持ちのよい有酸素運動をゆるやかに続けたりするなど、適度にリラックスする習慣を持つことが大切です。
ちなみに、腸は「腸神経叢」と「自律神経(交感神経・副交感神経)」という腸自体に存在する二つの神経によってコントロールされていますが、過度のストレスは自律神経の交感神経を優位にしてしまうという問題もあります。
一般的に活動を行っている時は交感神経が優位になるとされていますが、腸に関しては車のアクセルの働きをするのは副交感神経であり、交感神経は腸の運動のブレーキ役を果たしているのです。
さらに、腸内フローラのバランスが良好であると、ストレスへの耐性も強くなるとされていますので、乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などを中心にして、日頃から腸内フローラを改善していくことは、ストレス対策になると考えられます。
このことに関して、医学博士の藤田紘一郎氏は、『人の命は腸が9割』のなかで、「ストレスへの耐性を自ら高めることが、病気を防ぐ最大の方法」であるとし、「ストレスから心身を守るには、善玉菌が優勢で、多種多様な菌が共存する腸内環境を保つ工夫をすることです。それが心身のストレスへの耐性を自ら高める最大の方法です」と述べています。