前田京子さんの『ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵』は、ハチミツの魅力や著者のミツバチへの想いがひしひしと伝わってくる一冊ですが、この『ひとさじのはちみつ』には、はちみつの整腸作用・腸内環境を良くする働きについても、興味深いことが書かれています。
ローマ時代の医者であるディオスコリデスが『マテリア・メディカ』のなかで、「はちみつを混ぜた海水」が強い下剤となるということについて言及していることに触れつつ、デトックス用途に利用出来る「ハニーウォーターDD」を紹介しています(ちなみにDDとはデトックスのDとディオスコリデスのDだといいます)。
はちみつにはオリゴ糖やグルコン酸、酵素など、腸内細菌を整えるための栄養成分が含まれていますが、前田京子さんの『ひとさじのはちみつ』を読むと、実は加工されていない天然の純粋ハチミツが腸内環境を改善するのに非常に有効な働きをする食材だということが分かってくるのです。
考えてみれば、朝食、または夜のデザートに、「ヨーグルトにはちみつ」というのは、「腸内フローラ(腸内のお花畑)」と言われる腸内環境を整えるには最良の食べ合わせであることは間違いない。
はちみつを上手に肥やしにすれば、お腹の畑を蘇らせ、元気な花を一面に咲かせることができる。そうすれば、不快な便秘や下痢とはおさらば、日々健康な堆肥を生み出せる! というわけだ。
(前田京子『ひとさじのはちみつ』p174)
実は、はちみつ自体にすばらしい整腸作用がある理由は、現代的な知見から見てもちゃんとある。はちみつのすごいところは、便秘にも、下痢にも、どちらにも、根本的に効くということなのである。日々の食習慣に継続的に上手に取り入れることで、対症療法ではない、根本的な腸の健康を手に入れることができる。
(前田京子『ひとさじのはちみつ』p173)
健康なエネルギーの源はどこかと考えてみれば、それは、取り入れた食べ物を耕し、発酵させ、微生物と共生し、栄養を循環させる、腸内フローラが育つお腹の腹の中だ。お腹の中にきれいな花を満開に咲かせることができたとき、からだに元気がみなぎる。
肥料や薬を選ぶのは私たちだ。
あなたはどんな農法で花を咲かせますか?
はちみつは健康な土作りの大きな助けになってくれる。だから私はときどき畑に「はちみつ水」を撒く。はちみつを肥やしにする。
(前田京子『ひとさじのはちみつ』p180)