ここでは腸内細菌による短鎖脂肪酸が作られやすいとされる「グァー豆酵素分解物」の腸内環境や腸内フローラを改善する効果を紹介しています。
「グアー豆酵素分解物」とは、「グァーガム」と呼ばれている水溶性の食物繊維を、酵素で分解して精製されたものだとされています。
そしてこの「グァー豆酵素分解物」に関して詳しく述べているのは、『消化管は泣いています』などの著作がある医学博士の内藤裕二氏です。
内藤裕二氏は『人生を変える賢い腸のつくり方』のなかで、この「グァー豆酵素分解物」について、以下のように述べています。
「グァーガム」は増粘多糖類として加工食品には重要な素材で、食品の粘りを増加させる増粘に広く利用されています。
(略)
このグァーガムは一九八〇年代から脂質・糖質代謝、便秘改善、体内有害物質蓄積抑制などの生理効果が報告されてきました。しかし強すぎるネバネバがネックとなり、これまで食品への利用は大きく制限されていました。
そこで酵素分解することによって粘性を下げ、粉末状にして手軽に摂取できるように開発されたのが「グァー豆酵素分解物」なのです。
(内藤裕二『人生を変える賢い腸のつくり方』p218)
グァーガムのもとになるのは、インド・パキスタン地方で栽培される「グァー豆」です。グァー豆はえんどう豆の一種で、水溶性食物繊維が豊富に含まれています。インドでは健康に良い食品として古くから知られ、カレーに入れるなどして伝統的に食されてきました。
さらにインドには、お腹の調子が悪くなった際にグァー豆を摂る習慣が古くから根づいているという話も聞いたことがあります。
グァーガムはこのグァー豆から取れる水溶性食物繊維であり、優れた生理作用をもっています。グァー豆酵素分解物はそのグァーガムの栄養成分をそのままに粉末状にしているため、日常的に手軽に摂取できるといえます。
(内藤裕二『人生を変える賢い腸のつくり方』p218~219)
また、内藤裕二氏の『人生を変える賢い腸のつくり方』においては、グァー豆酵素分解物は「発酵性が高く短鎖脂肪酸の産生量が多い」「分子量が大きく浸透圧性の下痢を引き起こしにくい」といった性質についても、言及がなされています。
特にグァー豆酵素分解物が腸内細菌による短鎖脂肪酸の生成に役立つという点は、野菜や果物、海藻類などから、十分な量の水溶性の食物繊維を摂取するのが難しい方にとっては、注目に値すると思われます。
この短鎖脂肪酸について内藤裕二氏は「腸内の㏗値を低下させて有用菌の増加を促すと同時に、悪用菌の増加を抑制する効果がある他、炎症の抑制、さらにはがんの予防に重要な役割を果たしているとされています」と述べています。
さらにグァー豆酵素分解物によって短鎖脂肪酸が作られると、腸内細菌の集まりである腸内フローラの改善や、小腸の絨毛を回復することにもつながっていくことが、示唆されています。
そのほか、内藤裕二氏の『人生を変える賢い腸のつくり方』では、特別養護老人ホームや医療・介護施設において、患者さんの便秘や下痢といった便通の改善にも、グァー豆酵素分解物が役立っていることが示されています。
ちなみにこのグァー豆酵素分解物は水に溶けやすいため、粉末状のサプリメントを飲みものやみそ汁などに溶かすことで、手軽に摂取することができます。
グァー豆酵素分解物の顆粒六gで水溶性食物繊維を五g摂取できます。普段の食事にプラスアルファ五gの水溶性食物繊維を習慣にすることで腸内環境を活性化して、カラダと心の健康を実感できることでしょう。
(内藤裕二『人生を変える賢い腸のつくり方』より)