ここでは酪酸菌と短鎖脂肪酸の関係について述べています。
酪酸菌とは、偏性嫌気性の芽胞形成性酪酸菌であり、人の腸管内にも常在していることがわかっているといいます。そしてこの酪酸菌はビフィズス菌や乳酸菌の発育を助けるとされています。
日本では酪酸菌は宮入菌という名称で知られていますが、その理由は1933年に宮入近治博士によって、腐敗菌に対して強い拮抗作用がある酪酸菌として報告されたからです。
この酪酸菌は、主に食物繊維や難消化性の糖質の発酵で生じてくる、炭素の数が7個以下の脂質であり短鎖脂肪酸(「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」「イソ酪酸」「乳酸」「コハク酸」)のうちのひとつである「酪酸」を作り出すとされています。
短鎖脂肪酸が腸内細菌によって多く作られるためには、グア―豆酵素分解物など、特に水溶性の食物繊維を多く摂ることが必要だといわれていますが、酪酸菌は経口投与後、腸管内において増殖し、酪酸を産生することが動物実験によって証明されているとされています。
したがって、短鎖脂肪酸の生成に酪酸菌の摂取は役立ってくれる可能性が高いのですが、現在は、酪酸菌(宮入菌)の研究を行っているミヤリサン製薬株式会社による「強ミヤリサン 錠」などの整腸剤のほか、ダイエット目的に酪酸菌を配合したサプリメントなどが、販売されるようになってきています。
また、オーストラリアのはちみつである「ジャラハニー」には、酪酸菌が多く含まれているとされています。